加齢で起こる顔の変化の中でも、見た目に老けた印象を与えるのが「たるみ」です。手術しか解消法がなかった時代とは違い、今や美容皮膚科では照射治療や糸を使ったリフトアップなど、身近に感じられるたるみ改善に関する施術メニューも数多く登場しています。これらの治療法はどうやって、たるみにアプローチし、どのような効果が望めるのでしょうか？　人気のたるみ治療を探ってみます。

1. 気が付いた時には顔のたるみは進行している
2. 照射治療は、熱の力で肌の深部に働きかける
3. 照射治療以外の施術でも、たるみへ効果
4. 効果的なたるみ治療には、医師の知識と経験が不可欠
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気が付いた時には顔のたるみは進行している

ほうれい線が目立ち始めた、額のしわができた、二重アゴになった、頬の毛穴が目立ち始めた。これらは全てたるみが原因で引き起こされた症状です。たるみを自覚する前に、すでにたるみが進行している・・ということはじつはよくあることです。

顔にたるみが起こる原因はいくつかありますが、その一つにしわと同様に線維芽細胞の働きの悪さがあります。線維芽細胞は真皮層にあるコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などを作り出し、肌のハリと弾力を維持する大切な細胞ですが、加齢とともに総数が減り、機能も低下します。そのため肌の真皮がスカスカになりたるみが生じるのです。その上、真皮の奥では脂肪層が下垂、顔の筋肉と骨格も萎縮するなど、加齢などの影響で顔の構造自体の崩れも起きます。それらの要因が重なり合いフェイスラインがぼやけるなど、たるみはますます進行していきます。

たるみの原因は複数あるため、セルフケアではとても効果は期待できません。では美容医療ではどんな施術でたるみにアプローチするのでしょうか？

照射治療は、熱の力で肌の深部に働きかける

少し前まで、美容外科で手術をするしかたるみを解消する方法はありませんでしたが、照射機器の進化によりメスを使わずともさまざまな対策が取れるようになりました。照射機器は熱の力で線維芽細胞に刺激を与えることで、線維芽細胞を目覚めさせ、有効成分の生成を促す効果が期待されます。機器によって皮膚へのアプローチや効果は異なります。人気の照射機器はどんなものがあるのでしょうか。

ウルセラ

ウルセラはHIFUと呼ばれる高密度焦点式超音波の連続照射によるたるみ・引き締め治療です。超音波が一点に集中したときに出る強い熱エネルギーを皮下の深い部分にある筋膜（スマス筋膜）にまで届け、人工的にダメージを与えます。照射直後に熱作用によるタンパク質の引き締め効果が現れ、１〜３ヶ月かけて傷を治す力でコラーゲンが再生されます。照射機器の中では最もリフトアップが期待できる治療法です。

サーマクール

サーマクールはRFという高周波エネルギーを照射することで、皮膚深層部にダイレクトに作用します。皮膚深層部の引き締め、コラーゲンの生成が望めます。サーマクールにはサーマクール（2003年）、サーマクールNXT（2007年）、サーマクールCPT（2009年）、サーマクールFLX（2018年）と発売された年代ごとに4つの種類があります。

ウルサーマ

人気のウルセラとサーマクールFLXを同じ日に受けることで、より広範囲熱作用を与えることができるため、より高いたるみ解消効果、下垂したフェイスラインのアップが期待できます。

タブロ・ゴールド

タブロ・ゴールドはウルセラと同じHIFUマシンで高密度焦点式超音波を使用したたるみ治療です。他HIFUマシンとの違いは超音波を広範囲にあて、エネルギーを分散させていることです。

治療器にはこの他にも複数ありますが、それぞれアプローチの方法、望める効果、効果の持続期間など違うため、単独治療だけでなくウルセラとサーマクールを組み合わせた「ウールサーマ」のように機器を組み合わせることで、より大きな効果が望めるようになります。

ただし、どの治療が自分に向いているのか自己判断は危険です。治療経験の豊富な医師に診断してもらった上で、最適な治療法を提案してもらうのが効果をあげる基本です。またクリニックによって、照射機器の所有台数も種類も異なります。治療の選択肢を狭めないためにもある程度治療器を所有しているクリニックを選ぶのも有効です。

照射治療以外の施術でも、たるみへ効果

照射系の治療以外にもたるみに効果を望める治療として、皮下に糸を挿入して引き上げるスレッドリフトや注入治療を併用した方法があります。

スレッドリフト

スレッドリフトの中には髪の毛より細い溶ける糸を皮下に挿入する「スレッド美容鍼」、溶ける糸に棘がついているためさらにリフトアップ力が上がった「バーブ4Dリフト」などがあります。皮下に挿入した糸が皮膚や筋肉を引き上げ、糸が溶ける過程でコラーゲン生成を促します。

注入治療の併用

たるみには筋肉や脂肪の萎縮がありますが、ボリュームロスした箇所をヒアルロン酸で補うことでふっくらと肌を整えることができます。注入箇所によっては皮膚のたるみや底上げになるような注入の方法もあります。ただし注入治療だけでは、自然なリフトアップはかないません。他の治療法との併用で、たるみとしわをナチュラルに美しく改善する方法もあります。

施術メニュー	望める効果	効果持続期間
ホームケア	保湿	当日
照射治療	リフトアップ 引き締め	6ヶ月〜1年
スレッドリフト	リフトアップ、たるみ予防	半年〜１年

効果的なたるみ治療には、医師の知識と経験が不可欠

たるみ治療に使用されている照射機器はどれも優れていますが、誰が照射しても結果が同じというわけではありません。トラブルを避け、より高い効果を出すためには顔の構造を熟知し、臨床経験豊富な医師だからできる照射方法があります。

また個々の肌の状態、治療の目的、照射治療が初めてなのか慣れているのか、それら全てを含め、照射すべき場所、照射を避ける場所を瞬時に判断して、よりリフトアップできる照射の仕方ができる医師・クリニックを選ぶことが効果的な治療の決め手になります。

たるみ治療は定期的に行うことで、「変わらない」でいることすら夢でなくなる治療法です。そのためには効果を引き出してくれる、そして信頼できるクリニックを選ぶことが最初の課題と言えるのではないでしょうか。